2月16日
琴袋の裏地を付ける。
これは、袋をひっくり返した状態。
表地が、紺色の分厚い綿の生地。
裏は、古い正絹の袈裟を利用。
厭離庵のご住職さまは、中国の古い琴を習われていて、その袋をご自分で作られました。
けれども、実際に使ってみると、どこかがひっかかり、出し入れに難儀するとのことで、裏地を付けよう!と、古い袈裟をほどきにかかられました。
けれども、うまい具合になかなか進まなかったそうで、裁縫に時間を費やすのではなく、その時間はお琴の練習に充てたい!ここはプロにお任せしようということになり、私のもとへやって来ました。
最初から裏地付きで袋を作るのと、後から付けるのとでは、やり方が全く違います。
また、古い袈裟をほどいて使うというのは、新しい生地で作るのとは手間が全然違います。
ご住職さまは、手間や工賃がかかることを了解した上で、この古い袈裟を使って欲しいと言われました。
古い袈裟の生地は、目がキュッと詰まっていて、新しいものとは針通りが全く違います。
袈裟は、どこかほつれても、ダーッとほつれて来ない縫い方をしています。(だからご住職さまは、ほどくところでプロに任せよう!と思われたわけです。)
手間がかかることや、縫いづらいことは重々わかっていましたが、私もご住職さまのように、ものは大切に使いたいと考えています。
覚悟しておあずかりさせてもらいました。
1ヶ月ちょっと、どうしたものかと頭の中で、ずっと考えていました。
実際に手に取ると、やるべきことはもう見えているので勝手に手が動きます。
やったことのない仕事は、いつものちくちくと違って、楽しさが加わります。
一気に仕上げました。
来週、納品に伺います。